ペールブルーにくちづけ
「ではみなさんは、そういうふうに川だと云われたり、乳の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか。」 先生は、黒板に吊るした大きな黒い星座の図の、上から下へ白くけぶった銀河帯のようなところを指さしながら、みんなに問いをかけました。 カムパネルラが手をあげました。それから四五人手をあげました。ジョバンニも手をあげようとして、急いでそのままやめました。たしかにあれがみんな星だと、いつか雑誌で読んだのでしたが、このごろはジョバンニはまるで毎日教室でもねむく、本を読むひまも読む本もないので、なんだかどんなこともよくわからないという気持ちがするのでした。 ところが先生は早くもそれを見附けたのでした。 「ジョバンニさん。あなたはわかっているのでしょう。」 ジョバンニは勢いよく立ちあがりましたが、立って見るともうはっきりとそれを答えることができないのでした。ザネリが前の席からふりかえって、ジョバンニを見てくすっとわらいました。ジョバンニはもうどぎまぎしてまっ赤になってしまいました。先生がまた云いました。
目次
- 01ウルトラマリンの夜明け※注意事項など
- 02真夜中は瑠璃色
- 03あの虹彩の色を覚えている
- 04そんなふうにやわく愛して
- 05空っぽに棲む妖精
- 06夏までは還らない
- 07淡い涙のグラニテ
- 08月を食むライカンスロープ
- 09比類なきレーゾンデートルnew